今日も神保町にて

今日も夕刻、ふらふらと神保町へ。まずはハヤカワ文庫の清水俊二を買うべく、書泉へ。ハヤカワか創元推理文庫となるといつもなぜかまずは東京堂ではなくへ書泉へ行ってしまう。書泉、ひさしぶり。無事に発見して安心したあとで、今日もふらふらと書肆アクセスへ。たのしみを分散させるべく昨日見送った林哲夫さんの「P-BOOK」の残りの2冊、やっぱり売切が心配だったので一気に買う。最後は東京堂で本日の神保町はおしまい。みすず書房大人の本棚》で、長谷川四郎訳のアラン・フルニエ『グラン・モーヌ』が森まゆみさんの解説付きで出ていることにやっと気がついた。なんてすばらしいのだろう! と感激。早く買えるといいな。岩波文庫と比べてみようかしらと思う。…と、ここでみすず書房のサイト(http://www.msz.co.jp/)をチェックしたら、次回の《大人の本棚》は山田稔さん訳のアレー『悪戯の愉しみ』なのだという。どこまでもすばらしい! と、ますます感激。壁に貼り出してあった毎日新聞の書評欄の、杉本秀太郎の「カルメン」3冊が嬉しかったりもして、なんにも買わずともホクホクの東京堂。よい気分で今日も神保町を後にして、すぐに繰りたい本ばかりで誘惑に負けて、帰り道に喫茶店でコーヒー、本読みでずいぶん長居。お会計のときに店主さんが「風邪が流行っていますよね」と突然言った。帰宅後、まっさきにいつもより念入りにうがいをした。

さっそく読み始めてたいへん面白い。戸板康二清水俊二は「リラの会」という宝塚愛好の会で一緒だったということに初めて気がついた。双葉十三郎もいたわけで、なにやらチャンドラーつながりの会合だ。典型的東京ッ子の清水俊二だけど、映画会社に就職した1930年代初めの舞台は関西で、そのモダン都市描写がイキイキとたいへん面白く、谷崎潤一郎や「新青年」が絡んだりするのにもワクワク。うーん、これはすばらしい。とりあえず、退屈男さん、ありがとうございました! 

  • 林哲夫『古本屋を怒らせる方法』P-BOOK 01(すむーす堂、2004年12月)
  • 林忘茶庵『句集 書影』P-BOOK 03(すむーす堂、2005年2月)

 3冊並べて悦に入る。 

発売になってからというもの、西荻やアクセスで岡崎さんのサイン本に遭遇して、あんまり素敵なので、遭遇するたびに目移り。1冊ごとに違う作家の似顔絵入りのサイン本を店頭で次々に手に取ってはにんまりだった。どれにしようかしらッとたいへん迷って、迷っているうちに、いや、戸板康二の似顔絵を発見するまで待った方がいいかも、と購入を先延ばしにしていたこの2ヶ月。戸板さんはいまだ発見ならず(ないのだろうけど)、だけど、林哲夫さんの豆本を無事に手中に収めたあとでふとまたチェックを開始すると、庄野潤三の似顔絵発見! 戸板さんは諦めて、庄野潤三に決めた。万が一戸板さんが見つかったら大喜びでまた買うとしよう。

このあとの喫茶店でさっそく読みふけって、たまにゲラゲラ笑いそうになってしまって危なかった。戸板康二の『ぜいたく列伝』がちょろっと登場していて嬉しい。林芙美子『めし』における関西描写という一文があったりして、庄野潤三の似顔絵入りだし、先の清水俊二と「関西」つながりでもあって、本日の文庫本両方ともちょろっと(←この「ちょろっと」具合が嬉しいのだ)戸板さん登場だし、うーん、なかなか味なことであった。


かさねがさね、退屈男さん、どうもありがとうございました。→ 退屈男と本と街:http://taikutujin.exblog.jp/