2009-01-01から1年間の記事一覧

冬休み関西遊覧その3:大阪近代建築めぐり。京阪電車で京都。

午前10時、宿を引き払って、外に出てみると、空気がひときわ冷たくて、吐く息がフーッと白い煙のよう。新聞の天気予報によると、本日の最高気温は5度以下、京都では午後に雪が降るらしい。空気が澄んでいて空の青が濃くて、寒いとかえって気分が清々として…

冬休み関西遊覧その2:後藤明生『しんとく問答』片手に大阪めぐり。

午前8時外出。早々に地下に入り、「ドージマ地下街」をテクテク歩いて梅田へ向かう。道順はよく覚えていないのに、適当に歩いているといつもなんとなくたどりついてしまう、梅田地下のとある喫茶店にてモーニングセットを食べる。何年か前にほんのゆきがか…

冬休み関西遊覧その1:阪神電車と六甲ケーブルと六甲山ホテル。

午前8時東京駅発の新幹線は定刻通り、10時半過ぎに新大阪に到着。イソイソと在来線に乗り換えて、まずは大阪駅へと向かう。 新大阪から JR 大阪駅へ向かう電車に乗るのは意外にも今日が初めてなのだった(いつも地下鉄御堂筋線の方に乗っていた)。張り切っ…

「戸板康二ダイジェスト」更新メモ(#057)

別サイトの「戸板康二ダイジェスト(http://www.ne.jp/asahi/toita/yasuji/)」の付属ブログとして「戸板康二ノート」を開設しました。 → http://toita1214.exblog.jp 明治製菓広報誌「スヰート」(昭和4年10月5日発行)より、《三田 明治製菓売店階上 九…

上野から宇都宮へ。杉浦非水展を満喫して、東武電車に揺られて浅草。

午前8時半。浅草行きの銀座線を上野駅で下車して、上野発宇都宮行きの電車に乗るべく、JR の上野駅改札へと向かう。 昭和2年開通の地下鉄、銀座線の上野駅の観察はしょうこりもなくたのしく、たまに下車する機会があると、それだけで嬉しい。開通当時の煉…

『徳川夢声の小説と漫談これ一冊で』のこと。

無事に新しい一週間が始まって一安心、毎週月曜日の日没後は、心持ちよくウカウカと本屋へ出かけるのがお決まりで、意欲があるときは神保町までズンズン歩いて東京堂で本を見る、力が出ないときは徒歩5分の丸善本店をへなへなと巡る。とは言うものの、月曜…

日本橋で浮世絵を見る。隅田川沿いのミツワ石鹸。両国で新版画。

朝から理想的な曇天、太陽光線にひるむことなく、今日は気分よくどこまでも歩いていけそう……というわけで、イソイソと身支度を済ませて、いざ外出。iPod でシューベルトの《ロザムンデ》四重奏をリピートしながらテクテク歩き続け、靖国通りにさしかかった。…

1930年代の浅草に胸躍らせて週末。浅草オペラ展と上野松坂屋。

東武博物館のあと、松屋と浅草駅とが一体となった昭和6年竣工の東武ビルディングの建物観察を満喫して、頭のなかが「浅草昭和六年」一色になったところで一目散に帰宅して、まっさきに繰ったのは、堀切直人著『浅草』栞文庫(asin:4990170326)だった。 堀…

東武博物館のあと浅草松屋の建物を観察して、昭和6年の浅草を思う。

正午浅草。銀座線を田原町で下車して階段をのぼって、焼きそばの匂いがプーンとただよってくると、浅草に来たなア! と、いつもふつふつと嬉しくなる。このごろは浅草に来るのは飲酒目当てで日没時ばかりだった、昼の浅草はひさしぶりだなあと地上に出て、さ…

夏休み関西遊覧その2:富士正晴と天野忠。極私的モダン京都めぐり。

午前9時。宿を引き払って梅田駅に向かってテクテク歩いてゆく、その前に、まだまだ大阪が名残惜しいので、ちょいと寄り道。駅と逆方向へ歩を進めて渡辺橋の欄干に立って、堂島川を眺める。年内にあともう一回くらいは関西の風に吹かれたいなあと、朝日新聞…

夏休み関西遊覧その1:阪神電車で美術館へ。ガスビルでモダン大阪。

東京駅午前8時発の新幹線は定刻通りに10時半過ぎに新大阪駅に到着。いつものようにイソイソと小走りして、御堂筋線の改札口へと向かう。御堂筋線に乗りこんでほっと一息ついたら、いつものように今度は、電車が淀川を渡る瞬間が待ち遠しくてたまらない。 新…

昭和10年の「書窓」から、昭和3年の「パンテオン」の船川未乾へ。

8月朔日は、とある閲覧室にこもって、雑誌をいろいろ繰って日が暮れた。とりわけ、アオイ書房の「書窓」をじっくり眺めることができたのが格別だった。今回は、創刊号(昭和10年4月10日発行)から1年分の12冊で時間切れ。1930年代の書物雑誌を繰るのはい…

ニューオータニで小林かいち展を見て、モダン京都をおもう。

昼下がり、炎天下の弁慶橋を渡って、ホテルニューオータニに足を踏み入れ、エスカレーターで6階にあがって、ニューオータニ美術館へ。開催を知って以来、たいへんたのしみにしていた《謎のデザイナー 小林かいちの世界》展、とにかくも無事に来られて本当に…

銀座線にのって上野広小路へ。夏の夜の国立西洋美術館。

霞が関から直帰の日は、虎ノ門から田村町の交差点に向かって歩くのがいつものおたのしみなのだけれども(目的地はたいてい田村町キムラヤ)、今日は昨日よりは涼しいし、雨も降っていないし、なによりも明日からは三連休だ……というわけで、めずらしく気が向…

『書誌書目シリーズ89 藤木秀吉「武蔵屋本考その他」』(ゆまに書房、2009年6月)

藤木秀吉『武蔵屋本考その他』(昭和15年4月28日刊)の原本の復刻が、ゆまに書房の「書誌書目シリーズ」として刊行された(http://www.yumani.co.jp/np/isbn/9784843332283)。『武蔵屋本考その他』は藤木秀吉の一周忌に際しての遺稿集で、編集を一任された…

「戸板康二ダイジェスト」更新メモ(#056)

「戸板康二ダイジェスト(http://www.ne.jp/asahi/toita/yasuji/)」に、「戸板康二よろずひかえ・その2」として、主に戸板康二にまつわることを書きとめた先月前半の日録形式のメモを掲載。→ http://www.ne.jp/asahi/toita/yasuji/news/33.html 「スヰート…

『柳田泉の文学遺産』のこと。

4月に入って最初の東京堂行きの折、『柳田泉の文学遺産』の内容見本が積んであるのに遭遇して、ワオ! と欲張って3枚ほどちょうだいして、新年度早々、大喜びだった。右文書院から全3巻で刊行されるという『柳田泉の文学遺産』の第1回配本は5月で、以下…

岩佐東一郎と山本信雄の『春燕集』と内田誠のお菓子随筆。

ウェッジ文庫の新刊で、かねてよりの愛読書、岩佐東一郎の『書痴半代記』をあらためてじっくりと読んだおかげで、このところ、いろいろと嬉しいことがあった。 岩佐東一郎『書痴半代記』ウェッジ文庫(asin:4863100469)。装丁:上野かおる。ウェッジ文庫は…

「戸板康二ダイジェスト」更新メモ(#055)

「戸板康二ダイジェスト(http://www.ne.jp/asahi/toita/yasuji/)」に、ここ十日間の戸板的読書日記のようなものを、「戸板康二よろずひかえ」として掲載。→ http://www.ne.jp/asahi/toita/yasuji/news/32.html 先月のとある土曜日の午後、何年ぶりかで、早…

昭和8年、京橋の空の下の明治製菓ビルと明治屋と、内田誠=水中亭。

岡田三郎『舞台裏』(慈雨書洞、昭和11年2月)に収録の「三枝子もの」2篇、『舞台裏』と『三枝子』の女主人公の勤務先は《京橋のほうの電気器具商会》。 毎朝のように、東京駅の八重洲口から、三枝子もそのなかの一員となって一緒に続々と吐き出される人間…

1930年代東京の上林暁が麦酒を飲んだ京橋交差点の第一相互館のこと。

『上林暁全集 十三』(筑摩書房、昭和42年3月)に、昭和9年の随筆として、「思案の辻」(巻末の書誌には「7月19日号、掲載紙不詳」と記載)という文章が収録されている。 僕たちにとって、交番のある側からの尾張町のある角は、いつも思案の辻である。 僕…

十一谷義三郎を読みながら横浜へ。野田書房の随筆雑誌「三十日」。

早起きして「音楽の泉」のスイッチは入れずに早々に外出。坂道をズンズンとくだって駅へ向かう。花冷えという言葉がぴったりのツンとした冷気が気持ちいいなア! と二日酔いになることなく、かねてからの計画どおり無事に外出できてよかったッと歓喜にむせぶ…

溝口健二と1930年代東京の都会小説。岡田三郎『舞台裏』のことなど。

野口冨士男を知ってから、岡田三郎はつねに気にかかっている作家だけれども、本を買う機会はなかなかめぐってこなかった。1月下旬、とある古書展で買った、函なしの『舞台裏』(慈雨書洞、昭和11年2月)が初めて買った岡田三郎の本。函つきの完本だとなか…

後藤明生を買いに東京堂へゆく。千代田区図書館の内田嘉吉文庫。

朝。荷風の『つゆのあとさき』をひさしぶりにじっくり読み直したいと思いつつ、かれこれ1ケ月以上が過ぎている……ということを、出がけに突発的に思い出した。本棚の岩波文庫コーナーから『つゆのあとさき』を取り出し、谷崎の「『つゆのあとさき』を読む」…

阪神間遊覧日記:中津の跨線橋。甲南漬資料館と文学館と小津安二郎。

日曜日の朝の堂島界隈。今日もよいお天気で絶好の遊覧日和だなアと、機嫌よく大阪駅へ向かってテクテク歩く。堂島から肥後橋に向かって立ったときの眼前の眺めが大好き。朝日新聞社のモダンな社屋とその向かいの建物の鉄塔、この都市風景を目にしたいがため…

大阪遊覧日記:南海本線と阪堺電車。溝口健二『浪華悲歌』をおもう。

東京駅8時半発の新幹線は、定刻通り11時過ぎに新大阪駅に到着。JR の改札を出るといつも、いつのまにか小走りになっている。地下鉄の一日乗車券(850円)を買ってイソイソと電車に乗り込んだそのすぐあとで、車窓に淀川が見える瞬間はいつもそれだけで大は…

野口冨士男と『ほろよひ人生』と高見順の、1930年代東京・蚕糸会館。

日没後、家に帰るまえに、今日はちょいと外でぼんやりしたい気分だった。連日さながら梅雨のごとし。イソイソと外に出て、傘を開いて、丸の内仲通りをテクテク歩いて、日比谷界隈に出て、東京宝塚劇場の前で今日は右折、帝国ホテルの正面を歩くと、やがて向…

古書展で高見順を買って以来、久保田万太郎を読み直す日々。

先月のとある土曜日、小川町の古書会館でなんとなく気が向いて、高見順『東橋新誌』(六興出版部、昭和19年11月10日)を手にとった。戦時下の浅草を舞台にした新聞小説。去年に『高見順日記』を通読して以来、気になりつつもずっと読む機会を逸していたので…

甲鳥書林の巴里本。冬休みの野田遠足の余波の浜口陽三と小津安二郎。

雨が降り強風吹きすさぶなか、「和洋会」開催中の小川町の古書会館に出かける。「和洋会」のときはいつもモーツァルトの室内楽(たぶん)が流れているなあと思いつつゆったりと場内をめぐり、結果、本日のお買い物は全部で3冊(合計1700円)、と理想的なあ…

浅草のドトールで「昭和の東京」文献。浅草松屋で古本ショッピング。

正午過ぎ、外出。銀座線に乗り換えて、田原町で下車。ドトールでコーヒーを飲んで、ほっとひと息つく。図書館をさぼったおかげで今日は時間がたっぷり、しばらくのんびり持参の本を繰るとしようと、まずは、刊行と同時に入手した、路上観察学会『昭和の東京 …