2013-01-01から1年間の記事一覧

1930年代の都会新風景・空の広告風船玉。鈴木信太郎の《東京の空(数寄屋橋附近)》からはじまる、アドバルーンにまつわる走り書的覚え書。

昭和6年の『都新聞』の縮刷版を眺めていたら、昭和6年4月23日の紙面にて、「都会新風景 空の広告風船玉」という見出しの記事が目にとまった。 「月もデパートの屋根に出る」の風情でビルデングやデパートの屋根に出る昼間の月――長い尾を曳いて大空にポツ…

久保田万太郎と竹屋の渡し。上林暁の「浅草」小説。昭和はじめの上林暁のモダンな散文と京都の天野忠のこと。

8月最後の金曜日の夜、浅草見番で文学座有志による万太郎戯曲公演《久保田万太郎の世界》を見た。第10回となる今回は『不幸』(初出:「演劇新潮」大正13年4・5月合併号)と『一周忌』(初出:「中央公論」昭和3年9月)が上演された。浅草は年明けの浅…

年の瀬の浅草。2012年の東武ビルディングの外観リニューアルのこと。

2012年の年の瀬のある日。古書展と映画館をはしごして、夕闇の神保町からイソイソと半蔵門線に乗りこんで、三越前で銀座線に乗り換えて、浅草へ。年末になって初めて銀座線の新型車両に遭遇する。 地下鉄から浅草の地上に出るときは、古びた地下商店街を通り…