昭和8(1933)年師走の東京の空の下。12月11日に京成電車の日暮里・上野間が開通。日暮里から2つの地下駅、寛永寺坂駅と博物館動物園駅を経て、寺田寅彦記すところの《上野公園西郷銅像の踏んばった脚の下あたりの地下》*1の上野公園駅が京成電車の終点と…
2014年8月10日日曜日。午前8時東京駅発の新幹線は台風の影響をかろうじて免れて、定刻どおり9時40分に名古屋駅に到着。人生初の名古屋来訪! の感慨にふける間もなく、イソイソと地下鉄に乗り込んで桜山駅で下車、出口から博物館までの徒歩5分の暴風雨を…
ひとまず四ツ橋の記念碑を凝視したところで、高速道路の高架下を東へと戻り、鬼貫と小西来山の句碑が並んでいるさまを無事に見届けたところで、いざ四ツ橋文楽座の跡地へ行かんと、イソイソと道路をわたって、佐野屋橋で右折すると、そこは、がらんとした駐…
以下は、もうとっくに春なのに、去年暮れの冬休み大阪遊覧メモの前篇。西から東へ、北から南へ、東から西へ……の歩行の記録。□2013年12月28日土曜日。正午前に大阪に到着して、今回まっさきに出かけたのは、東横堀川に架かる本町橋だった。大阪市内に残る最古…
「日用帳」は2014年でかれこれ12年目、今年もマイペースに続けていければといいなと思いつつも、今年こそはもうちょっと精進したい。本年も何卒どうぞよろしくお願いします。なにはともあれ、よき日々になりますように。 北村今三の1930年の年賀状(多色木版…
昭和6年の『都新聞』の縮刷版を眺めていたら、昭和6年4月23日の紙面にて、「都会新風景 空の広告風船玉」という見出しの記事が目にとまった。 「月もデパートの屋根に出る」の風情でビルデングやデパートの屋根に出る昼間の月――長い尾を曳いて大空にポツ…
8月最後の金曜日の夜、浅草見番で文学座有志による万太郎戯曲公演《久保田万太郎の世界》を見た。第10回となる今回は『不幸』(初出:「演劇新潮」大正13年4・5月合併号)と『一周忌』(初出:「中央公論」昭和3年9月)が上演された。浅草は年明けの浅…
2012年の年の瀬のある日。古書展と映画館をはしごして、夕闇の神保町からイソイソと半蔵門線に乗りこんで、三越前で銀座線に乗り換えて、浅草へ。年末になって初めて銀座線の新型車両に遭遇する。 地下鉄から浅草の地上に出るときは、古びた地下商店街を通り…
2012年5月11日金曜日。午前8時、堂島の宿を出て、昭和6年竣工の朝日ビルディングとその向かいの昭和33年竣工の新朝日ビルディングの跡地に完成間近のフェスティバルタワーを正面に渡辺橋を渡る。平日の大阪は3年前の夏休み以来なので、よろこびはひとし…
大阪から近鉄電車にのって、生駒トンネルを抜けて奈良へ 2012年5月13日日曜日。午前7時50分、大阪地下鉄を難波で下車して、近鉄電車に乗り換えて、奈良へ向かう。近鉄電車に乗るのは2年ぶりくらい。難波の地下の駅を出発し、上本町の地下駅では地上のチャ…
2011年12月29日。宝塚ホテルのアップルパイの午後を心ゆくまで満喫、さて、これから宝塚南口駅から西宮へと向かうとするかというところで、武庫川の鉄橋を渡る今津線の車窓を眺めたい! という誘惑にはどうしても勝てなくて、いったん宝塚駅へと戻ることにす…
2011年12月29日午後。梅田から十三までの阪急電車の3つの路線が並走するひとときに興奮しすぎて疲れてしまい、淀川を渡って十三を過ぎるとウトウトしてしまうのが阪急電車のいつものパターンで、今回の宝塚線でも十三を過ぎるとぼんやり。途中、「あ、飛行…
2011年12月29日。今年はなんやかやで、ここ数年来のおたのしみ、年に何度かの関西遊覧に行かれずじまいだった。という次第で、年末になってやっと、ちょうど1年ぶりとなる関西行きが実現して、こんなに嬉しいことはない。午前9時00分東京駅発の新幹線は、…
野口冨士男の生誕百年を記念する『越ヶ谷日記』が今月、越谷市立図書館野口冨士男文庫運営委員会の編集により刊行された。野口冨士男は復員後、夫人の実家のある越ヶ谷への疎開を余儀なくされ、昭和20年10月に越ヶ谷へ転居し、新宿区戸塚町の旧宅跡に新築し…
昼下がり、神保町を切り上げて半蔵門線に乗りこみ、表参道で銀座線に乗り換えて、渋谷で下車。丸ノ内線の四ツ谷駅の地上に出る瞬間や、同じく丸ノ内線の御茶ノ水駅に入る直前に聖橋のふもとの神田川の脇に出る瞬間とおなじように、終点の渋谷駅に到着する直…
今日は早起きして、上野まで歩くことに前々から決めていた。高速道路の高架下の神田川を渡り、前を通りかかるといつもそこはかとなく嬉しい川口アパートメントを見物したあと、野口冨士男の真似をして永井荷風の『狐』に思いをはせつつ金剛坂から伝通院へ向…
(※前回の2010年9月26日付けの関西遊覧日記の続き。午前のバスに乗ってモダン大阪遊覧のあとに続く、午後の阪神間遊覧日記です。) 武庫川から阪神国道へ。大庄町の村野藤吾。浜田車庫発野田行きのバスに乗り、「阪神国道線」に思いを馳せる。 正午過ぎ、大…
寝坊することなく無事に朝食を済ませて、早々に宿をチェックアウト、午前7時過ぎ、いつものように、渡辺橋に立ち、正面から朝日新聞社の建物を眺める。今日も昨日に引き続き、絵に描いたような秋日和。 たまには気分を変えてほかの地区に泊まって、大阪のほ…
午前7時20分、新幹線に乗って東京駅を出発、関西1泊2日の遠足へ出かける。車窓は青い青い空、絵に描いたような秋日和。 明治40年の『東海道線旅行図会』を見ながら、新幹線に乗って関西へ 田山花袋・小栗風葉・沼波瓊音・小杉未醒『東海道線旅行図会』(…
桐生市立図書館の地域資料室で、昔の町並み探索 午前9時。宿を引き払って徒歩数分、イソイソと桐生市立図書館へ向かう。野間清治の石碑をフムフムと眺めてから、館内に足を踏み入れる。子供時分に休日が来るたびに出かけていた、都内のとある図書館(建て替…
午前7時50分。銀座線を終点の浅草駅で下車。改札を出て、吸い込まれるようにクネクネとひなびた地下通路をつたってゆく。この地下通路ひさしぶり、と心持ちよくウカウカと突きあたりの階段をあがりアーケードの下に出て、角のエクセルシオールカフェでひと…
野口冨士男にはますます夢中になる一方で、もはやわたしは野口冨士男を中心に本を読んでいると言っても過言ではない気がする。全著書蒐集を目指して早数年、自分用に「野口冨士男・著書リスト」【http://www.ne.jp/asahi/foujita/kanako/carnets/noguchi/a.h…
連休よりも、平日にはさまれてポンと1日の休日の方が断然好きだ。府中ピクニックに出かけたいな、4月中に決行できたらいいなと思っていたなかで、ふと「昭和の日」というのがあることに気づいたときは、大喜びだった。そして、いざ当日になってみると、朝…
平塚市美術館で開催される《明・静謐・孤高―長谷川りん二郎展》が待ち遠しいあまりに、思い余って初日に出かけることに前々から決めていた。その日はちょうど五反田の古書会館では「本の散歩展」が開催中、あらためて五反田の都市風景をじっくり観察したいと思…
毎年2月になると、岩波ブックセンターで「みすず」の1・2月合併号の《読書アンケート特集》(315円)を買うのが、数年来のおたのしみ。今年も1月はあっという間に行ってしまって2月になり、例年どおりにソワソワしはじめたとたん、神保町のとある古書肆…
午前10時、宿を引き払って、外に出てみると、空気がひときわ冷たくて、吐く息がフーッと白い煙のよう。新聞の天気予報によると、本日の最高気温は5度以下、京都では午後に雪が降るらしい。空気が澄んでいて空の青が濃くて、寒いとかえって気分が清々として…
午前8時外出。早々に地下に入り、「ドージマ地下街」をテクテク歩いて梅田へ向かう。道順はよく覚えていないのに、適当に歩いているといつもなんとなくたどりついてしまう、梅田地下のとある喫茶店にてモーニングセットを食べる。何年か前にほんのゆきがか…
午前8時東京駅発の新幹線は定刻通り、10時半過ぎに新大阪に到着。イソイソと在来線に乗り換えて、まずは大阪駅へと向かう。 新大阪から JR 大阪駅へ向かう電車に乗るのは意外にも今日が初めてなのだった(いつも地下鉄御堂筋線の方に乗っていた)。張り切っ…
別サイトの「戸板康二ダイジェスト(http://www.ne.jp/asahi/toita/yasuji/)」の付属ブログとして「戸板康二ノート」を開設しました。 → http://toita1214.exblog.jp 明治製菓広報誌「スヰート」(昭和4年10月5日発行)より、《三田 明治製菓売店階上 九…
午前8時半。浅草行きの銀座線を上野駅で下車して、上野発宇都宮行きの電車に乗るべく、JR の上野駅改札へと向かう。 昭和2年開通の地下鉄、銀座線の上野駅の観察はしょうこりもなくたのしく、たまに下車する機会があると、それだけで嬉しい。開通当時の煉…