講談社文芸文庫の吉田秀和さんに涙ぐむ。

5時起床。最近順調に早起きができて嬉しいけど、問題は、すぐに眠くなり、その眠気は夜寝るまでずっとおさまらない、ということなのだった。ああ、どうしてこんなに眠いのだろう、ニシ・アズマみたいに昼寝したいなあといつも思うことを今日も思いつつ、昼休み、本屋さんへ。岩波現代文庫戸板康二の『歌舞伎 ちょっといい話』のことで頭がいっぱいで、おなじく先月の岩波文庫の新刊、ブレヒト三文オペラ』の岩淵達治新訳版を買うのを忘れていた、こうしてはいられないと、めずらしいことに今日は明確な目的があって、本屋さんへ出かけた。いつもは「スビバセンねえ」と PR 誌を持ち帰るだけだが今日は違う、背筋をピンと伸ばして、本屋さんに足を踏み入れた。

予定通りに『三文オペラ』を手にとって、もう安心。適当に近辺をめぐる。ふと講談社文芸文庫の新刊が目にとまる。吉田秀和さんの『ソロモンの歌 一本の木』が目に入った。ガバッと手に取って、まっさきにあとがきを立ち読み。11月末に出た『たとえ世界が不条理だったとしても』のあともこうして吉田秀和さんの言葉を新たに目にできるなんてと、思わず本当に涙ぐんでしまう。鼻水をすすりながら吉田秀和さんの「著者から読者へ」を読む。内容は、出たばかりの正宗白鳥『世界漫遊随筆抄』を手にしての感激について。こういう文章を残した人の著作と同シリーズとして自分の本が刊行されるとはなんと嬉しいことだろう、というような一節で文章が締めくくられていた。新生堂奥村でまたもや半額で入手できるかもと思って買い控えていたけど、もうそんなことは言っていられない。吉田秀和さんと一緒に正宗白鳥も一緒に買うことにする。吉田秀和さんと一緒に白鳥も買えるなんてなんとうれしいことだろうと思う。とかなんとか、昼休み、文庫本を3冊も買ってしまう。