休日日記

今週も寝坊して、NHKラジオの皆川達夫さんの「音楽の泉」を聴き損ねてしまって残念。やっとのことで寝床から出て、ほんの思いつきで、リヒテルのディスクでシューマンの《蝶々》を流してみたら、この曲を構成する小品のひとつひとつが耳にたいへん気持ちよくて、浮き浮きと聴き惚れて、何度も聴き直した。

午後はひさしぶりに庭園美術館へ。美術館そのものもたのしかったけれども、展覧会のあと、庭園でのんびりする時間がいつも大好きだ。梅の花が咲いていて、その枝の曲線が美しく、隣にはバラの花がいくつか咲いていて、空は真っ青で冷たい空気が頬に気持ちよく、うららかでよいお天気の、しごく穏やかな日曜日の昼下がりだった。木陰を歩いたりして思う存分緑を満喫。

美術館のあとは、麻布十番へ。お店をいくつか巡りつつの散歩のあとは、のんびりと喫茶。そんなこんなでとっぷりと日が暮れた。寝坊すると一日が短い。

日曜日の午後の美術館は大混雑だった。ルネ・ラリックの諸々のガラス作品をはじめとする工芸品のモチーフ観察にいそしむと同時に、いつもながらに建築の細部を観察するのがとても愉しくて、次第に気持ちが昂揚してきて、だんだん嬉しくなってくる。個々の工芸品や建物の観察はもちろんだけども、1925年のパリ万博の諸々の資料、アンリ・ラパンによるプランタンとボンマルシェの広告ポスター図案などなど、当時の写真や冊子やポスターなどの紙ものもとてもよかった。と、展覧会全体が平面、立体、空間といろいろな方向からたのしめる感じで、その複合具合に興奮だった。実は来る前は「またか」という気もしないでもなかったのだけれども、いざ来てみると、ああ来てよかった! と心の底から満たされた気持ちになった。やっぱり、たまにでも庭園美術館に来るということがあるのはいいなアと思う。次回の《パリ1900 ベル・エポックの輝き》も見に行きたい。