ブラームスとプーシキン

すっかり春めいてきて今日も機嫌がよい。春になるといつもシューマンが聴きたくなる。このところ朝の音楽はピリスのモーツァルトだった。で、今朝からシューマンにしようと思ったけれども、ふと思いついて、アファナシエフブラームスにしてみたら、いつもは夜に聴いていたディスク、朝聴くとまた違った感覚でとてもいい感じだった。今日からしばらく朝はこのディスクでいこうと思う。

いつもより30分以上早く外出して、喫茶店でコーヒー。昨夜、文庫本棚をあさっていてふと発見した古い岩波文庫の、プーシキンの中篇小説『大尉の娘』(神西清訳)をほんの気まぐれで読み始めてみたら、初っぱなからとてもよくて、朝っぱらからウキウキだった。神西清の訳がいいせいもあるのだろうけれども、プーシキンの軽やかでちょいと諧謔味もある文章がとてもいい。ぽわーんといい匂いがただよってくる。人々のちょっとした描写にニンマリの連続で、次の章へと場面が切りかわる感じが、シューベルトの《美しき水車小屋の娘》みたいな連作歌曲を聴いている感覚。プーシキンはいつも音楽みたいだ。

id:kanetaku さんに、戸板康二の『ぜいたく列伝』が学陽書房の人物文庫として、来月に刊行されると教えていただいて、びっくりびっくり! 思わず近所の本屋さんへ来月の新刊文庫一覧表を見に行ってしまった。発売日は4月12日、と手帳にメモ。『歌舞伎への招待』正続が無事に刊行されて安心していたばかりだというのに、また来月も戸板さんの新刊文庫が出るなんて! この調子でいけば、近々、講談社文芸文庫戸板康二が入るに違いない(予言)。やっぱり『劇場の椅子』がいいかな、でもやっぱり『六代目菊五郎』かな、うーん、どうしたものかと妄想は続く。