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寝不足で眠いので目を覚まそうと昼休み、本屋さんへ。ちくま文庫の新刊、『吉行淳之介エッセイコレクション』の最終刊「トーク」をなんとはなしに立ち読みして、森茉莉の対談を読んでいるうちに猛烈に今すぐに欲しくなってレジに直行することに。勢いに乗って百間先生も! と、しばし迷いつつ今回は、新刊の日記帖ではなくて、福永武彦が『書物の心』で「さっそく購いたまえ」と書いていた『残夢三味』を手にとった。そのままコーヒーショップへ移動して、吉行淳之介の対談を読みふけって、森茉莉の次の立川談志のおしまいの、吉行の「あなたは本当に落語が好きなんだな」という発言を受けての、

《好きですね、ぼくがいちばん好きなんじゃないかと思う。ときどき寄席の外に出て、看板を見上げるんですよ。桂文楽古今亭志ん生三遊亭圓生柳家小さん……と名前が並んでて、あとのほうに立川談志と書いてあるでしょう。心の底から嬉しさがこみあげてきて、ああ、おれはいい商売を選んだと思いますね。》

というくだりにジーンとなっているうちに昼休みが終わった。1966年、このとき、談志師匠30歳。

日没後、待ち合わせまでの空き時間にひたすら吉行淳之介の対談を読みふけった。面白くて面白くてページをめくる指が止まらない。ラストの川崎長太郎を読んで、大村彦次郎の『ある文藝編集者の一生』を読んだときの一連の読書のことがふつふつと胸によみがえって、講談社文芸文庫宇野浩二『独断的作家論』が今すぐに欲しくなった。

今夜も駅から自宅までの帰り道、通りがかりの本屋さんに足を踏み入れた。宇野浩二『独断的作家論』が無事に売っていて、やれ嬉しや。勢いに乗って、発売が楽しみだったちくま学芸文庫の新刊の『今和次郎』を手にとった。同じく発売が楽しみだった講談社文芸文庫福田恆存がなぜか売ってなくてムズムズ。心の隙き間を埋めようと、河出文庫岡本綺堂の続きを買うことにした。……うーむ、なんか酔っぱらっていたのかな。

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