今週の古本日記

foujita2004-10-02


秋のせいか一段と渋い今週の古本。どこへ向かっているのだろう…。

購入本

  • 喜熨斗古登子述・宮内好太朗筆『吉原夜話』(青蛙房、昭和39年)
  • 浄瑠璃作品要説3 近松半二篇』(国立劇場芸能調査室、昭和59年)

先月に出た雑誌「東京人」の神保町特集の記事、南陀楼綾繁さんの「古書目録の読み方、楽しみ方」で紹介のあった「みはる書房」の目録にたいへんそそられて、記事を読んでさっそく目録を申し込んで、先日初めての目録が届いた。さっそく眺めてホクホク、初めての目録だから何か本を買えるといいなあと思ったところで、『浄瑠璃作品要説』がわりと安く出ているのを発見、ほかにもなにかよいものはないかしらと、何年も前からそこはかとなく読んでみたいと思っていた青蛙房の『吉原夜話』を一緒に申し込んで、二冊一緒に火曜日に届いた。正確にいうと、火曜日に帰宅したら不在票がポストに入っていて、郵便局までテクテクと歩いて取りに行った。思わぬ名月の夜の散歩となった。2冊ともたいへん立派な本で、この総額だったらどちらか1冊を買っておまけにもう1冊手に入った、というような感覚。

『吉原夜話』はもとは大正14年から「都新聞」に連載されていた読み物。喜熨斗古登子さんは猿之助のおじいさんの猿翁のお母さんで、この本の巻末には猿翁の弟、八代目中車と市川小太夫の文章があって、そのあとに喜熨斗古登子さんに踊りを習っていた小堀杏奴の文章があって嬉しかった。先日買った、柴田宵曲の『明治の話題』とおなじく、三谷一馬の挿絵がついていて、これまたいかにも青蛙房という趣きでたまらない感じ。

本日、出先の帰り道の古本屋にて購入。『浄瑠璃作品要説』の近松半二篇が届いて急に気持ちが盛り上がり、おりよく今月の国立劇場は『伊賀越道中双六』であることだし、よい機会なので前々から手元に置いておきたいと思っていた念願の『近松半二 江戸作者 浄瑠璃集』を購入。嬉しい。隣りには同じく新日本古典文学大系の『近松浄瑠璃集』が2冊セットで3000円で売っていた。来月にぜひとも購入したい。それまでこの棚にありますようにッと祈願。


今日はよい天気でとても気持ちよかった。思っていたよりも早く帰宅できたので、自転車でちょいと出かけるとするかなと無目的に外出。またもや「サイクリング、サイクリング、ヤッホー、ヤッホー」と自転車に乗ったとたん急にハイに。しばらく気分よく走っていたところ、いつのまにか早稲田界隈に。ここまで来てしまったらもう、穴八幡の「青空古本祭」に足を踏み入れるしかないだろうと、意気揚々と境内へ。

「青空古本祭」は前に1度だけ来たことがある。3年前の雨がザアザア降っていた日、たまたま近くに所用があったのでなんとはなしに中に入って、この日は本当にたまたま近くを通りかかっただけなので懐が寂しく、ほんの見物のつもりだったのだけれど、前から欲しかった未来社の『小山内薫演劇論全集』の端本の伝統芸能の巻を500円で買って大喜びとなった。そして、帰宅後に志ん朝死去のニュースに遭遇したのだった。

さて3年ぶりの「青空古本祭」というと、

境内に入場してすぐに、叢書江戸文庫が安く売っているのを見つけて、うっ、これは無視できないと3冊一気に手にとった。せめて1冊1500円くらいに値付けしてくれていたら2冊で済んでいたものを。なんて言いつつも嬉しい。と、これだけですでに大満足で、ほかの棚もザ−ッと見て回ったものの、本を取る気力があまり出ない。無念。早々にお会計しようと歩を進めると、

  • 雑誌「幕間」昭和22年11月
  • 雑誌「幕間」別冊《文楽号》昭和22年7月
  • 三宅周太郎『演劇手帳』(甲文社、昭和22年)

演劇雑誌がちょっとだけ置いてあるのを見て「幕間」が安かったのでこちらも手にとった。と、そのすぐあとで三宅周太郎も200円なので勢いに乗って手にとった。「幕間」は高木四郎の表紙がいつも好きだ。

とかなんとか、せっかくの古本祭なのにバラエティに富んだ買い物ができなかったのは無念。あたかも奥村書店帰りの人みたい。


今月は岩波文庫で『浄瑠璃素人講釈』が出るので、知らず知らずに義太夫気分が盛り上がっているとみた。