日曜日の午後

「音楽の泉」が始まるころに目が覚めた。今日はシベリウス交響曲第4番。大好きな曲なので大喜び、寝床でヌクヌクとラジオに耳をすませた。そんなこんなしているうちにいつのまにか寝てしまい、次に目が覚めたのは昼下がり。嗚呼、雨にも負けずに竹橋の近代美術館のあとに神保町、という計画が泡と消えた。いや、今からでも遅くない、雨がやんでいたら美術館へ行こうと思って、窓の外を見てみると、嗚呼、無情の雨。いっそのことこのまま寝てしまおうか、いくらでも眠れそうだし、とも思ったのだけれども、やっぱり起きることにした。気を取り直していくつか家事をしたあと、ちょいと気が向いて、傘をさして外出。雨がしみじみ冷たい。近所の本屋さんで本を買ったあと、あたたかな喫茶店でコーヒー。ベートーヴェンの《熱情》ソナタが静かに流れていた。買ったばかりの本を一通り下見して、いずれもとても面白そうでホクホク、一気に目が覚めた。そのあとは、筑摩書房の「明治の文学」の三遊亭円朝の巻をめくった。一心不乱に『名人長二』を読んだ。

帰宅後の夜、気が向いてラジオをつけてみると、マーラー交響曲第4番がきこえてきた。もう何年も聴いていなかったマーラーだったから、猛烈な懐かしさがこみ上げてきた。ラトル指揮のウィーンフィル演奏会の実況、ソプラノはバーバラ・ボニー。今頃のウィーンはちょうど今日わたしが起きた頃の時刻かなと思った。ラジオをきいて、ぜひとも見に行こうと思っていたはずの『ベルリン・フィルと子供たち』(http://www.cetera.co.jp/library/bp.html)のことを急に思い出した。就寝前は志ん朝ディスクで『明烏』。いつもよりずいぶん遅くに起きたのに、夜眠れなくなるということもなくふつうの時間に眠れて嬉しい。という低次元な喜びとともに、日曜日は終わった。