『哲学的落語家!』を拾い読み

今週は外出時間が毎日遅れがちでつまらないことであった。今日もあまり時間がなかったものの金曜日なので奮発して朝は少し高いコーヒーを飲んだ。図書館で借りた平岡正明著『哲学的落語家!』をふらっと読み始め、まず「枝雀落語へ」と題された序文。子供時分の新聞小説獅子文六の『てんやわんや』にリアルタイムで接していて、そこに登場する「関西人」描写を「関西との初遭遇」とする本郷生まれの少年、という導入がさっそくたまらん、とさっそくウキウキ。昼休みはお弁当もそこそこにコーヒーショップに駆け込んで『哲学的落語家!』をあちこち拾い読み。著者紹介のところに《あらゆる分野を対象に脱領域的な批評活動》という一節がある通りに、いろいろな分野のいろいろな固有名詞が縦横無尽に登場するグルーヴ感がひとまずは「読み物」としてすこぶるおもしろい。と同時に、いろいろな落語のタイトルが縦横無尽に登場しているのを見ることで、モクモクと落語を聴きたくなってくるのが嬉しい。とりあえず、《「寝床」を桂枝雀がやると、織田作之助の小説を読んでいるような風合の落語になる。コテコテの大阪ではなく、成熟した商都の庶民生活の肌合いが。》という一節で、枝雀の『寝床』が聴きたくてたまらなくなって、京橋図書館へ借りに行きたいなと一瞬思ったけど、帰りは銀行でちょいとまとまったお金をおろして、青山へお買い物へ。三信ビルまで歩いて千代田線にのった。三信ビルの地下の小さな本屋さんでちくま文庫の新刊のオースティンの『エマ』を買ってさっそく読み始める予定でいたけど、まだ売ってなかった。ので、引き続き『哲学的落語家!』を繰っているうちにあっという間に地下鉄は表参道だった。