石神井書林の目録を繰る

朝は喫茶店へ直行。エスプレッソ片手に石神井書林の目録をメラメラと繰る。岩佐東一郎と城左門の並びが登場したところでしばしぼんやり。敗戦間近に大井町の岩佐邸で「交書会」という本の交換会がてらの書友の親睦会が月に一度、催されていたことを知ったのは、戸板康二の『思い出す顔』が最初だった。戸板さんもこの会に参加していて、岩佐東一郎が編集していた「文芸汎論」に原稿を寄せたこともあったという。その「交書会」にあらためて「えー!」となったのが、山村正夫著『推理文壇戦後史』の記述を知ったときのこと。ずいぶん前に南陀楼綾繁さんの日記で知ったのだった。いま確認したら、1年以上も前のこと(id:kawasusu:20040803)。「えー!」と言いつつ、特に追求することもなく今日まで来てしまったなあと、石神井書林の目録を眺めて思い出した。「詩学」の嵯峨信之は、戸板康二が少しだけ関わっていた串田孫一の同人誌「冬夏」(十字屋書店発行、昭和15-16年)の重要関連人物であるし、いつも言い通しだけど「いろいろとつながる」のだった。石神井書林の目録をどんどん繰ってゆき、先月に横浜の文学館でねこそぎ閲覧した「文芸汎論」や「新風土」のことを思い出したりもする。などと、いろいろなことを思い出していたところで、あるページで明治製菓のPR誌「スヰート」が数冊セットで売っているので(4万数千円也)、一瞬「ムンクの叫び」状態になるも、戸板さんの在籍年度ではなかった。よかった。本当によかった。

洗濯物もよく乾いていることであろうと青い空の下を心持ちよく、昼休みは本屋さんへ。上村以和於さんの新刊『仮名手本忠臣蔵』を手にとる。忠臣蔵大好きで「忠臣蔵」と聞いただけでソワソワの身としては(ただし「仮名手本」のみ)、ぜひとも買って読みたい本だ。巻末リストに戸板康二著『忠臣蔵』の紹介があった。のでメモ。石神井書林の目録を見ていて、急に岩波文庫の『吉田一穂詩集』が欲しくなってしまったのだけど、あいにく棚になかった。残念。コーヒーを飲みながらさっそく繰るつもりでいたのだけど。

帰りはちょいと足をのばして日比谷界隈へ。シャンテの地下で買い物少々。キッチンガーデンで Dolfin のビターチョコレート8枚セット(定価575円)が約半額だったのでわーいと買う。エスプレッソとセットで1枚ずつつまむとしよう。たのしみ、たのしみ。泰明小学校の脇を通るべく歩いていくと、通りがかりの薬屋さんの前に置いてあるゾウの「サトちゃん」が阪神タイガース仕様になっている。思わずしばし立ちどまるも、今夜は来客ありなのだった、こうしてはいられないと旭屋は断念、イソイソと地下鉄に向かった。