冬支度

ズシンと地震で目が覚める。ちょうどいいので起きることにして、寝床から出ると今日はひときわ寒い。いつもの朝のおともの NHK ラジオは津波情報ばかり、スイッチを消して静かに朝食、イソイソと外出。朝の喫茶店で、今日が返却日なので昨夜あわてて読み始めた黒柳徹子の評伝、北川登園著『トットちゃんの万華鏡』をグングンと読む。「戸板康二」の4文字が一応は登場していて、劇評が一度だけ引用されていた。評伝というのは根底に対象への敬愛がなくてはならないものだという点では気持ちのよい本で読み心地はいい。大岡龍男目当てで『トットチャンネル』をとても面白く読んだときのことを思い出してなつかしい。あと、文学座をさらに追求したくなった。それから宮口精二の「俳優館」をじっくりと繰りたくなった。

なにしろ今日中に読まねばならないので昼休みも『トットちゃんの万華鏡』をグングン読んで、最後の方はかなりの卒読で、無理やり読了。むかし「ザ・ベストテン」という歌番組があった。家で見せてもらえなくて学校でお友だちの話を聞いてしきりにうらやましがっていて、たまに見せてもらえると嬉しかったものだった、という少女時代の思い出にしばしひたる。ロケが多用され、なにもそんな場所で歌わなくても、というような場所でよく歌手は歌っていたものだった。今思うとなかなかキッチュだなあ。というようなどうでもいいことを思っているうちに昼休みが終わる。

すっかり暗くなって外に出ると、ツンと寒い。マロニエ通りをズンズン歩いて、京橋図書館に本を返してまた借りた。松屋で日用品を物色したあと教文館で本を見て帰宅。趣味展の目録と「日本古書通信」が届いていた。ミルクティを飲みながら一通り眺めたあと、大あわてで冬支度をする。本棚の整理を進めるも今日のところはそこそこで切り上げる。寝床で借りたばかりの絲山秋子の『ニート』を読み始める。ふとんから出ている本を持つ両手だけがどんどん冷たくなっていくこの感覚、ひさしぶり。最初の2篇を読んだところで就寝。