獅子文六の『嵐といふらむ』を読む

今週も週明け早々、力が出ない、なかをガバッと起きて、無理やり気合いを入れる。と、無理やり気合いを入れてみたら、なんとなく力が出てきた。先週みたいな力の出ない日日はもう勘弁したい。無理やり入れた気合いが抜けないうちにとものすごい勢いで、朝食とお弁当づくりを終わらせ、イソイソと外出。ここまでたどりついたら安心と、ゆるりとコーヒーを飲みながら、本を読むことにする。

突発的に持参した、獅子文六の全集を繰る。いつかの古書展で200円で買った本。いつも思うことだけど、古本とはなんと安い道楽であることだろう。ホクホクと未読の『嵐といふらむ』を読み始める。「主婦の友」の連載小説で、華族出身の青年の敗戦直後の物語。獅子文六の未読作品を読み始めるといつもだけど、ひとたび読み始めると、面白くって面白くてページを繰る指がとまらない。ああ、面白いなア! と、ひたすらウキウキ。獅子文六を読むといつもだけど、「モラリスト」としての人間描写と合わせて、風俗描写がとてもよくて、敗戦直後の東京小説の愉しみも満喫。半年繰り上げで東大法科を卒業した主人公の青年は、三國一朗と同年代だなと思う。キャスティングは誰がよいだろう。主人公やヒロインはいい案が思いつかないけど、ヤミ屋で儲けているこの男は宮口精二ぴったり、こっちは小沢栄太郎にしよう、などなど、いろいろと思いつつ、とにもかくにも一気読み。


イソイソと帰宅して、京都で買ってきた鯖寿司を夕食にする。美味なり。