堀切直人著『浅草 戦後篇』を読み始める。

昨日に引き続き本格的に早起きができて、嬉しい。機嫌よく外出。喫茶店でコーヒーを飲む。堀切直人著『浅草 戦後篇』を読み始める。昨日、東京堂の新刊コーナーで、これは買って読みたいなという本があって、しばし立ち読みした。しかし、『浅草 戦後篇』が未読のまま部屋の書棚に収まっているということが急に気にかかり、買わず。あの本は、『浅草』四部作を読破したあとで、晴れて買うとするかな。でも、気が変わって買わないかも。と、それはともかくとして、今日のところは『浅草 戦後篇』を読み始めることにする。

と、ぶつくさと『浅草 戦後篇』、ひとたび読み始めてみると、いつもながらに呪縛度が高い。「戦後60年」よりダンゼン「戦前60年」、と思っていたわが身を反省し小さくなりながら、ズンズンと読む。三島由紀夫の『百万円煎餅』が登場したところで、あの短篇、大好きだったなあと、しばしぼんやりしつつも、ズンズンと読む。敗戦後の数年、水面が澄みわたるくらいにうつくしかったという隅田川、両国の花火の再開の頃はどんなだったのだろうと、お茶の水の聖橋(だったかな)の欄干から花火を見ていた武田百合子さんのことを思い出す。「戦後篇」の表紙絵は美濃瓢吾さんによるもので、浅草観音温泉を描いている。なんとも素敵な絵。この絵を見てまっさきに百合子さんの『遊覧日記』を思い出したものだったけど、この絵、《月見猫》というタイトルなのだなあ、帯をはずしてみると、「あ、猫」と、区切りのよいところを読んだあとは、ぼんやりと本をいじくって、いい気分。

浅草 戦後篇


昼休み、本屋さんへ。ご自由にお持ちくださいの PR誌コーナーに、「本」の新しい号が積んであった。このときを待ち望んでいた! と、狂喜乱舞。こうしてはいられないと、ガバッと手にとって、コーヒーショップへ移動。「本」は毎月毎月惰性で入手しているだけだった。これほどまでに「本」の入手が嬉しかったことはかつてない。と、お目当ての原武史さんの「鉄道ひとつばなし」特別篇、「日本の鉄道全線シンポジウム(下)」は期待を裏切らない面白さで、ヒクヒク。このページがいつまでも続いてほしいと本気で思ってしまったほど。京阪電車の二階建て車両にまた乗りたい! 「新幹線には SL で対抗」の大井川鐵道の気迫が素敵だ。 


帰り、銀座に立ち寄る。そもそもの目的は山野楽器でハイドンのディスク調達だったというのに、ふらりと立ち寄った松屋の日用品売場で予定外の散財、お金も時間もなくなり、今日のところは早々に帰ることにする。帰宅すると、扶桑書房の目録が届いていた。「冬夏」の鴎外特輯号が欲しいともだえる。