朝は加藤一雄、夜は広瀬千香を読む。

朝の喫茶店でコーヒー片手にのんびり。母から借りた「暮しの手帖」をザッと眺めたあと、加藤一雄の『近代日本の絵画』(河原書店、昭和41年)を繰る。まっさきに鏑木清方の章を読む。じっくりと読む。この本は京都の出版社の《日本の美と教養》という叢書の1冊。加藤一雄があとがきで、「美と教養」という言葉についてチラリと書いたあと、「近代日本」というタイトルについてトクトクと書く、その筆致ににんまりで、つい何度も読み返してしまった。いいなあ。あとがきを読み返すうちにまた読み返したくなったので、鏑木清方の章に戻っているうちに時間になる。クネクネと回り道ばかりで、なかなか先に進めなさそう。


日没後、強風にも負けず、京橋図書館に突進。前々から歌舞伎座の幕見席に出かけるつもりでいたけど、そんな場合ではないのだった。昨日おとりおきをお願いしていた廣瀬千香著『思ひ出雑多帖』(日本古書通信社、平成2年)を借りて、すぐに外に出た。とにかくも一刻も早く繰りたいと、強風にも負けず、自宅まで一直線に歩いた、というふうになる予定だったのに、顔に突き刺さる強風がツララのよう。強風に負けた…。地下鉄で早々に帰宅。

帰宅後。バッハの平均律を低音量で流しながら、毛布にくるまって、広瀬千香さんを繰る。「日本古書通信」最新号を確認すると、広告に記載があるので、まだ在庫があるようだ。こんなに嬉しいことはない。早く買いに行きたいものだと思う。が、今日のところはただ黙って読むのみ。