ムターのモーツァルト

ここ数ヶ月ずっと気がかりだった6月のムターの来日公演のチケットを押さえてひとまず安心安心と、手帳に当日のプログラムをメモする。モーツァルトソナタ、K.305 と K.304 と K.380、休憩をはさんで、K.379 と K.526 というふうに、今のところは予定されているとのこと。長年の偏愛ソナタ、K379 が入っていて、こんなに嬉しいことはない。第2楽章の変奏曲をムターが! と思っただけでソワソワ。この曲を初めて聴いたのは、1996年6月のサントリーホールにて、五嶋みどりのリサイタルのときだった。客席に吉田秀和さんがいらっしゃっていて狂喜乱舞だったあの日からちょうど10年、同じサントリーホールで同じ曲を今度はムターの演奏で聴くというめぐりあわせなのだなあと、歳月の流れについしみじみ。

と、朝っぱらからしみじみしたところで、まだだいぶ時間があったので、イヤホンでムターのモーツァルトを聴くとしようと、今日は歩いて出かけることにする。曇り空の下、テクテクと歩いてゆく。


昼休み、本屋さんへ。買い損ねていた岩波文庫ブレヒト、岩淵達治訳の『肝っ玉おっ母とその子どもたち』を手に取って、立ち読みにいそしむ。


日没後、京橋図書館へゆく。かすかに粉雪が舞っている。名残惜しい本、読みそこなった本を何冊も返却、そして、しょうこりもなくまた何冊も借りる。図書館に追われている。

借りたばかりのフィリップ・クローデル『リンさんの小さな子』を読んでいるうちに、いつのまにか寝てしまった。今週はいつにもまして眠たい日々であった。