「サンパン」を繰り、「うえの」を思い、石川達三を卒読する。

ずいぶん早起きをして、曇り空の下、張り切って外出。コーヒーを飲んで、昨日届いた「サンパン」最新号をじっくりじっくりと読み進める。

天候不安定の一日が終わってみると、明日から大型連休とやらが始まるというのに、すっかりくたびれてしまって、どうにもならない。しょうがないので、丸の内カフェでひと休み。ケルドセンミニクッキーチョコ100円で甘味を補給したあと、小岩井のビンの牛乳110円を飲む。「サンパン」を隈なく読了したところで、重い腰をあげる。

帰宅後、本棚からあれこれ本を取り出して、ダージリンを飲みながら、次から次へと繰る。「サンパン」の南陀楼綾繁さんの連載、「〈聞き書き〉作家小沢信男一代記」、毎回たいそうおもしろいのだけれども、今回もタウン誌「うえの」が取り上げられていて、たいそうおもしろかった。いろいろと「おっ」の連続でウキウキだった。そんなこんなで「うえの」のアンソロジー、『うえの春秋』(上野のれん会、1980年)を眺めたりする。「銀座百点」(←かつての)が戸板康二だとしたら、「うえの」は武智鉄二だなと、『うえの春秋』を初めて見たとき思ったものだったけど、この直感は意外にもなかなか当たっていたかもと思う。月刊うえの編集部編『創作山手線』(上野のれん会、1992年)が欲しい! とメモ。南陀楼綾繁著『ナンダロウアヤシゲな日々』所収の《タウン誌「うえの」と『とんかつ一代』》を読み返し、井泉(http://www.isen-honten.jp/)でとんかつを食べたいと思い、それから、黒船亭(http://www.kurofunetei.co.jp/index1.htm)へ行こうとも思う。…などと、急に食欲の抱負に燃えたあと、あれこれ取り出した本を元に戻す。そんなこんなしているうちに、本棚の整理モードとなり、またもや、あれこれ出し入れ。

石川達三の文庫本が出てきたので、ふと思いついて、ひさしぶりに読んでみることにする。解説が十返肇だったのでまずは『薔薇と荊の細道』(新潮文庫)を読む。なんだかつまらぬので、思いっきり卒読。最後までつまらなかった。勢いにのって、手を伸ばしたら出てきた、なにやらすごいタイトルの『その愛は損か得か』(新潮文庫)を読む。そんなに長くない小説のなか、人が死んだり火事になったり殺人が起きたり、なにやら大騒ぎ。なんだかつまらぬので、こちらも卒読。最後までつまらなかった。明日は朝からお出かけなのに、なにをしているのだろう、わたしは…と、いいかげんに寝ることにする。……と、読んだ当時は「なんだかつまらぬ」という感想しかなかったのに、全体的には面白くはないけど、今回読んだ二篇とも、細部の人間関係のあのあたりとこのあたり、というふうに、なかなか深く感じ入るところがそれぞれあって、あとになって、うーむとしみじみ思い返す描写があった、ので、読んだのは決して無駄ではなかった。(トこの日記を書いている二週間後は思っているのだった。)