文化生活一週間 #22

今週のおぼえ帳

庄野潤三の随筆集をちょっとずつ集めていて、ふらりと入った古本屋で持っていなかったのをひょいと(安く)見つけるととたんにホクホクとなる。『誕生日のラムケーキ』(講談社、1991年)は去年の年末の阿佐ヶ谷にて、中村登の『いろはにほへと』(←宮口精二がかっこいい)を見たあとに立ち寄った古本屋で買った。さっそく繰って、いつものこととはいえ、宝塚を見る庄野潤三があんまりたのしそうでいいなあと、わたしも宝塚を一度は見てみたいものだと思った、のは、去年の年の瀬のこと。で、年が明けてみると、あれよあれよと、日比谷での宝塚見物が実現し、『ベルサイユのばら』に引き続いて、今回が3度目の宝塚見物。

宝塚を知らなかったあの頃手にした『誕生日のラムケーキ』で庄野潤三はどんな言葉を残していたのだったかなと、『NEVER SAY GOODBYE』を見たあとで数カ月ぶりに繰った。伊藤静雄のことを語る新聞の紙面にて記者に宝塚見物をした近況を交えて、庄野潤三は「宝塚は伊藤静雄の文学のようなもの。みずみずしくて、そして強いものがある」と言い、ご覧になったことありますか? と、「宝塚を知らずに過すのは、人生の至福を一つとり逃がすようなもの、と思いますよ」と言っている。そんななにげない言葉が、うれしい。まさしく「宝塚を知らずに過すのは……」と、うなずくことしきりなのだった。次なる宝塚見物がたのしみ。本当にたのしみ。まったく、宝塚を知らずに過すのは……。

6月最初の日曜日、東京古書会館にて開催の地下室の古書展http://underg.cocolog-nifty.com/tikasitu/)へ出かける。金曜日に図書館で借りてさっそく「これはぜひとも手元に」と思った、中野重治『愛しき者へ』上下(1000円)をさっそく発見して、こいつぁタイミングはいいわえとさっそく大喜び。林哲夫著『文字力100』1890円と一緒に買う。

森茉莉街道をゆくhttp://blog.livedoor.jp/chiwami403/)のちわみさんから本をお譲りいただく。いつもはいただいてばかりのわたくしも今回はぜひともちわみさんに差し上げたい長谷川時雨資料が! と張り切っていたというのに、いざ当日になってみると、書棚から発見ならず無念であった。いったいどこへまぎれこんでしまったのだろう……。がっくりと肩をおとす。



ちわみさんからのいただきもののうちの一冊が、池田弥三郎著『山手線各駅停車』カラーブックス478(保育社、昭和54年)。表紙の103系(だったかな)がまぶしい。中の恵比寿のビール工場の写真がなつかしい。

「コショテンめぐりのススメ」というタイトルのトークショウ、岡崎武志さんと黒岩比佐子さんの対談をフムフムと聴く。「黒岩さん、むちゃくちゃかっこいいッ!」と見とれつつ、いろいろと心に刻むこと多々ありのお話をたくさん伺えて、たいへん有意義な時間であった。いろいろと抱負ができる。

開館間際の古書展というのは経験がないけど、日曜日が初日の UBC だったらわたしも開館間際ということを体験できるのだ、開館とともに会場になだれこむのを次回の UBC の目標としたい、というようなことを思いつつ、テクテクと夜道を歩いて、家に帰る。