内堀弘『ボン書店の幻』のノートを取り、伊東屋で帙を買う。

今日も順調に早起きをし、喫茶店でコーヒー。内堀弘『ボン書店の幻』(白地社、1992年)再読を終わらせ、虚空を見つめたあと、ペラペラとページを繰り、本全体に散りばめられた北園克衛の作品に見とれる。それにしても『ボン書店の幻』はなんと見事な本なのだろうと思う。と、ひととおり見とれたあと、ノートにいろいろメモ。前回読んだとき(5年前)は特に気にとめなかった、鳥羽茂の下宿先の坂本哲郎のこと、「旅」の創刊に尽力したという人物(たしか)、春山行夫の旧友の近藤東は当時池袋駅に勤務していて坂本哲郎とも交遊していた、そんな「鉄道畑の詩人」というような描写にウキウキ。いかにもモダニズム。近藤東は神奈川近代文学館に蔵書を寄贈していて、ほかではあまり見られないような資料がちょくちょく「近藤東寄贈」となっていたものだったので(例:「ほろにが通信」)、勝手に親近感なのだった。帰宅後は池袋モンパルナス文献を読み返そうと思う。


夕刻、銀座へ買い物に出かけるも、強い西日がまぶしく、銀座界隈にたどりついたころにはずいぶんくたびれた。伊東屋が視界に入ったところで、そうであった、とある紙ものを収納する帙をさがしていたのであったと急に思い出し、とたんに力がわいて、入口に突進して階段を駆け上がる。張り切った甲斐あって、あたかも誂えたかのようなぴったりな帙を発見し、嬉々と購入。さらに機嫌がよくなり、いろいろと見て回り、帰宅後、買ったばかりの帙に目当てのお品を収納してみると、まあ! 本当にもう、あつらえたかのようにぴったり! と、よろこぶ。