続・黄金餅の言い立て

一ヶ月のうちもっともたのしいひとときっていつだろうと考えてみると、ダントツで、新しい「東京かわら版」を手に入れて落語計画をあれこれ練るときだ。そしてたいていそのとき同時に新しい「銀座百点」も入手していて、2冊セットで嬉しい時間。「東京かわら版」は300円、「銀座百点」は無料、まあ、なんて安上がりの娯楽であることだろう。

が、落語は計画倒れのことの方がずっと多くて、今月号の「東京かわら版」では鈴本の上席夜の部、雲助師匠のトリの日はぜひとも参上しようと張り切って手帖にメモしていたのだが、いざ当日になってみると今回も行きそびれてしまった。夕刻になると「くたぶれた、くたぶれた」と体力がほとんど残っておらず、残念無念。id:mittei-omasaさんがうらやましい! 平日の閑散とした寄席って実は大好き。鈴本の中席の夜の部は必ず行くつもり。

今日は鈴本へ行けず残念無念、せめて教文館に出でてみんとちょいと寄り道、いろいろ立ち読みした。歌舞伎書コーナーにある戸板康二の復刻『歌舞伎十八番』(ISBN:4434034812)、前来たときは5冊あったのが4冊になっている、1冊売れたんだと喜んだあとで店内をウロウロ。立ち読みだけして今日は何も買わず。1階の雑誌売場で「編集会議」を立ち読みしたら、坪内祐三が出ていて、その本のセレクションにとにかく見とれる。来年になんと、みすず書房の「大人の本棚」に坪内さんの編集で戸川秋骨が入るのだそうだ。キャー! 

部屋へ帰る道筋の夜空には雲にかかった三日月。もうすぐ十三夜だ。帰宅すると、嬉しい届けものがいくつかあって、冴えない一日だったけど今日はいい一日になった。

嬉しい届けもののひとつが『黄金餅』の言い立てに関するメイル。いただいたメイルで知ったところによると、『黄金餅』の言い立て、談志師匠のディスクで聴くと、江戸時代の道筋のすぐあとで現在の東京のことを言ってくれるとのこと、談志師匠で聴くとますます自分が歩いているような気分になるのだそう。それにしても談志師匠の才気! 落語ってすばらしい! と胸がジーンとなった。さらに、北野武の『その男、凶暴につき』のとあるシーンで、志ん生の『黄金餅』が絶妙に織り込められてあるとのこと。

なんだか感激をうまく言葉にできないけれども、とにかく大感激のメイルだった。

帰り道で、突然ショスタコーヴィチのピアノトリオってどんな曲だったっけと、大好きな曲なのだけど思い出せなくて、今夜のミルクティのおともはこの曲に決定。