長唄ディスク

昨日の書き忘れ。山野楽器にてひさしぶりに買った、長唄のCDメモ。

  • 助六」「都風流」/吉住慈恭

かなり前にid:mittei-omasaさんの日記で教えていただいてからというものずっと気になっていながらずっと買い損ねていたディスクをやっと買った。やれ嬉しや。久保田万太郎の作詞で「吉原は拍子木までがウソをつき」という川柳がたくみに盛り込まれている。この句の詳しいことを万太郎は文学座龍岡晋に教わったとのこと。そのくだりは龍岡晋の『切山椒』という本で見ることができる。戸板康二は、万太郎が国学院樋口一葉の『たけくらべ』の講義をしたとき、前振りでこの句を交えて吉原の話をしたのを目撃しているとのこと。と、本で垣間見た二、三のことが印象に残っていたところで、実際に「都風流」を聴けるのは本当に嬉しい。これから徐々に聴きこんでいけたらいいなと思う。

先月に思いっきりハマってしまった「圓生百席」の『中村仲蔵』の下座に仲蔵ゆかりの「舌出し三番叟」の一節が使われていて、その「似せ紫もなかなかに〜」が頭にこびりついて離れず、ついにはCDまで購入することに。「舌出し三番叟」といえば松緑襲名のときに三津五郎の踊りを見てウキウキだった。そのときの記憶が断片的に残っていて、初代仲蔵、三代目歌右衛門と、芝居見物の際に参照した解説の、まさしく断片が頭のなかに残っていて、「圓生百席」とともに歌舞伎の記憶がおぼろげに甦ってくるのもまたたのし、だった。

非常に緩慢に長唄を聴いていて、非常に緩慢ではあるもののレパートリー(聴き手としての)が少しだけ増える、そのきっかけは万太郎だったり落語だったり、となにかとたのしいなあとちょっと嬉しい買い物だった。