人形町の昼下がり

foujita2004-02-22


土曜日は早起きして京橋図書館の地域資料室へ意気揚々と出かけた。「銀座百点」をあちこちめくってホクホクだった。昼下がり、ちょっと時間があったのでふと思い立って人形町へ行った。パン屋さんの「まつむら」のイートインコーナーでコーヒーと焼き菓子でしばしのんびり。まつむらは何年ぶりだろう。イートインコーナーが少しだけ改装されていたものの、前来たときとたたずまいはまったく変わってなくて、窓に背を向けたソファ席に坐って、店員さんたちやお客さんの入れ代わり立ち代わりを脇に、コーヒー片手にうっとりだった。柱の鏡にうつる背後の町かどの様子とかかすかに聞こえるジャズとか、なんだかひたすら和んだ。ああ、まつむら! まつむらよ、永遠なれ! と、心の中でふつふつと感激の、なんとなく気分は命の洗濯の午後の人形町だった。しばし界隈を散歩したあと、室町方面へとテクテク歩いて、ひさしぶりの人びとと会って、どういうなりゆきだったのかシベリウス交響曲は何番が好きかという話になって、「4番!」と強く思ったものの、どんな曲だったか思い出せず。

今日は寝坊して「音楽の泉」を聞き損ねた。日曜日は「音楽の泉」の時間には目が覚めているのを目標にしたい。


購入本

  • 雑誌「みすず」1・2月合併号《読書アンケート特集》

金曜日の日中に、別の用事で出かけたとある大書店のレジに積んであったのを見て、ふらっと衝動買い。表紙の潮田登久子さんの写真にうっとり。よくある読書アンケートだけど、2003年に発売になった本ではなくて2003年に読んだ本を挙げるというアンケートなので、旧著も入っているのがよかった。何年も前に読んだ川本三郎さんの『荷風と東京』を読み返したくなった。2003年の書物では、ずっと気になっていた小尾俊人著『本は生まれる、そしてそれから』がさらに気になった。小尾俊人串田孫一の『日記』に鮮烈に登場していたのが印象に残っている。山田稔さんが尾崎一雄の『あの日この日』を挙げて、《この読書から、よい文章というものは、その機能を果しおえると消えていくものだ、といった意味の尾崎一雄の言葉が胸に残った。よい文章は、水のように後味を残さないものなのだ。》と書いていたくだりが胸に残った。300円で表紙も中身もずいぶん堪能だった。いかにもみすず書房ならではの雰囲気に心が洗われる。静かにじっくりとこんな感じの読書をするのが理想なのであるが。

土曜日にまつむらの近くの本屋さんで買った本。新潮新書を読んだのは今回が初めて。年1、2回の上京のくだりがいいなあ。新幹線で読む本のくだりとか。年に1、2回くらいは、あこがれの京阪神へ出かけて、この本に挙がっていた古本屋さんを巡りたいものだなあとちょっとそそられて楽しかった。うむ、やはり扶桑書房の目録は人気だったのか、などなど、いろいろ心に刻んだこと多々あり。それから、河盛好蔵渡辺一夫、画家の書いた文章、などなど、さらにそそられたこと多々あり。……などなど、たのしく一気読み。この本にそそられたのは、このところ楽しみにしている、「daily sumus」がきっかけ。→ http://www.geocities.co.jp/Bookend-Ohgai/5180/daily-sumus.html