スムースを買いに

部屋の棚を整理していたら、メシアンの《幼子イエスに注ぐ20のまなざし》、ベロフのディスクが出てきた。なんとなく気が向いたので再生してみたら、今の気分に実によく合う。今日からしばらく朝の音楽はこの曲に決定。

帰りはしょうこりもなく今日も神保町へ。岩波ブックセンターもそこそこに書肆アクセスへ突進してホクホクと「sumus」の最新号を買った。次は、先日思いがけなく樋口一葉の本を読んだこととこのところ明治大正文壇をなんとなく追っていたのとで、急にみすずの《大人の本棚》の戸川秋骨が欲しくなって、予定通り東京堂で買った。この本は発売を心待ちしていたもののなかなか買う機会がめぐってこなくてこの2カ月というもの機が熟すのをじっと待っていた。うむ、やはりじっと待っていると、本当に機が熟すものだなあと感激しつつ、早く読みたいので喫茶店へ移動しようと、東京堂もそこそこに外に出たところで、ふと気が向いて、ふくろう店に足を踏み入れた。

「お買得コーナー」をなんとなく眺めていたら、小澤書店発行の柴田宵曲文集の端本が目に入って「おっ」と手にとってみたら、帯に都筑道夫の推薦文があって、その推薦文に思いっきりシビれてしまって、中身をペラペラめくってさらにそそられて、値段をチェックすると看板に偽りなしのお買得、うーむとしばし惑う。所持金に不安があるので今日のところは断念することにして、ふと前の棚に視線を転じると、雑誌「国文学」の折口信夫特集号が目に入った。中身をペラペラと立ち読みして、前々から気になっていた宮武外骨南方熊楠との関わりに関するくだりがあったのと郡司正勝の文章があったのと値段も安いのとで衝動買い。

コーヒーを飲みながら、戸川秋骨を読んで、ほんわかと幸せ。戸川秋骨のこの本は、同じく《大人の本棚》シリーズのチャールズ・ラムとセットで買いたいなと前々から思っていたものの結局果たせなかった。今日戸川秋骨による「斎藤緑雨君とチヤアルズ・ラム」という文章を読んで、次回の《大人の本棚》はぜひともラムにしようとふつふつと思った。また機が熟すのを待つとしよう。たのしみだ。と、戸川秋骨を読んでいるときにふと窓の外を見たら大雨で困ったことになったなと思っていたけれども、外に出る時分には雨はすっかりあがっていた。

購入本