Im wunderschoenen Monat Mai

起床すると、五月とはかくあるべし、という感じの気持ちのよい気候なので一気に目が覚めて、いい気分でしばしぼーっとしたあと、散乱していた本を片づけながら落語ディスクを流すことにして、志ん朝の『雛鍔』を聴いてみたら乗ってしまって、『干物箱』『代脈』などなど次々と聴いているうちに、時間がなくなってしまって、結局は寝坊したかのごとくにあわてることになってしまった。

今週も映画館に行き損ねた水曜日。「くたぶれた、くたぶれた」と力なく歩いて銀座へ行った。落語ディスクを物色したくなって山野楽器に足を踏み入れてみたら、「東京かわら版」の6月号が売っていたのでわーいと購入と同時に「銀座百点」をいただく。疲労困憊であることだし、渡りに船だとコーヒー店へ移動して、一休み。冒頭の小三治インタヴュウを読んで、見たことのない『バベットの晩餐会』に感激してジーンとなったり、諸々の文章で今まで何かと心に刻んでいた八代目可楽のことを思い出したりしたあと、ページをめくると、柳屋小満んの連載「噺の細道」が人形町なので嬉しい。冒頭に龍岡晋の俳句が掲げられてあるので嬉しさ二倍、「紅羅坊名丸が軒のへちまかな」という句で、三代目小さんの『天災』を聴いての作であろう、とのこと。クーッ! と大喜びだった。さらにページをめくると雲助師匠が登場して「雲様!」とまたまた大喜び、と、どんどんとかわら版のページを繰っていったらすっかりテンションがあがってしまった。意気揚々と外に出て、衣服と日用品等々をちょこまかと買い物して、上機嫌で帰宅。

帰宅後は、まっさきに圓生の『派手彦』を聴いた。「右のお手手をたんもに入れて、左のあんよから出るんですよ、ほら、ひのふのみい…」というところが好きだなあ。就寝時は「圓生百席」の『品川心中』、途中まで聴いているうちにいつのまにか寝てしまった。


購入本

先月ささま書店で買った都筑本を一通り読了してしまって、待ってました! と昼休み、ちくま文庫の新刊を買いに行った。前半は先月買った田中小実昌解説の角川文庫版とおんなじなので、後半からさっそく読み始め。読書中の本とともに都筑道夫の文庫本も一緒に持ち歩いて、たまにコーヒーを飲んで気分転換するような感覚で都筑道夫ショートショートを読む、なかなかオツでげすよ(圓生口調)。

昨日、京橋図書館への行きがかり、奥村書店で購入。野口冨士男のこの本は今回初めて見る本。函入りでシンプルな美しい造本で手にとっただけでうっとりだった。昭和初期の戦前からの批評、書評、劇評、解説等を集大成した本で、見つけてしまったらもう! という感じで迷わず購入。日曜日に野口冨士男の本をちょうだいしたばかりだったので、嬉しいかぎり。と、1冊手にとって気が大きくなって、前々から目をつけておいた高橋英夫さんの本も一緒に購入。こちらは図書館ですでに読了済みだった。折に触れて読み返したいという部類の書評を中心とした随想および批評集で、いつもながらに縦横無尽ぶりにクラクラ。これから先しばらく、この二冊が寝床本になるはず。