寄席の日

  (仲入り)

6月の第1月曜日は年に一度の「寄席の日」。入場料が半額になるという「寄席の日」が今年もやってくる! ということを「東京かわら版」で知って、これはぜひ行かねばッ、サアどこにしよう、雲助さん出演で志ん五さんがトリの池袋に決めたッと、すぐさま手帳にメモしていた。と、そんなわけで、日没と同時に池袋に突進、のはずが出るのが少し遅くなってしまって、本屋さんを偵察する計画は果たせず、池袋到着と同時に人込みを必死に縫って演芸場へ向かった。中に入ると志ん輔さんの『たがや』の途中で、場内はほぼ満席。いただいた団扇片手に、よい気分で寄席を満喫。思えば平日に池袋に来たのは初めて(というか池袋そのものが2度目)、「寄席の日」だからこそ来られたといってよかった。「寄席の日」の絶好の贈り物というような感じで、稀にみる楽しい一夜だった。

雲助さんの『臆病源兵衛』を聴いたのは初めて、タイトルは何だろうと帰宅後に雲助ホームページを見てすぐに判明。馬生譲りの珍しい噺とのことで、こういうのを雲助さんで聴くのが一番好きだなあと、落語のよろこび全開だった。蓮の花が咲いている不忍池や根津界隈といった夏の東京地図もよくて、長家の男たちがワアワアという感じの噺を雲助さんで聴くときのいつものよろこびが満ち満ちていて、実によかった。そして、志ん五『錦の袈裟』も素晴らしくて素晴らしくて、与太郎登場の瞬間の絶妙さ! 初めて聴いた歌之介さんと志ん馬さんともども、寄席の日の池袋演芸場を来た甲斐がありすぎるくらい堪能した。海老蔵襲名見物が終わってしまってしょんぼりだったけれども、梅雨から真夏にかけての鬱陶しい季節は落語聴きのよろこびがいつにもまして増すことだし、これからしばらく落語強化月間になるのは必至。