ラジオ・デイズ

朝目が覚めるとちょうど NHK ラジオの「音楽の泉」が始まるところ。今日の音楽は山田耕筰管弦楽作品で、初めて聴く曲。「音楽の泉」で皆川達夫さんのお話とともに初めての音楽に無心に聴く、というのが好きだ。と言いつつ、いつのまにか寝てしまうことも結構多いのだけれども、今回は寝床でずっとウキウキと聴いた。1910年代にドイツに留学した折の作品で、西洋音楽の様式をきちんと吸収している山田耕筰交響曲メンデルスゾーンやらシューベルトやらを彷彿とさせる、とっても親しみやすい旋律と楽器のハーモニーだった。近代日本の西洋受容のことに思いを馳せることができたのがとてもよかった。皆川達夫さんの「音楽の泉」を聴くと、いつもその音楽の時代、同時代の諸相のようなものを思わせてくれるので、いつもたのしい。

帰宅して、ラジオのスイッチをつけると、ちょうど NHK ラジオの「ラジオ名人寄席」が始まるところ。この4月に放映が日曜日に変更になって以来、初めて聴くことができた。おなじみのお囃子とともに「残しておきたい江戸情緒」云々という席亭・玉置宏のナレーションをひさびさに耳にして、大喜びだった。以前の月曜日と火曜日の夜9時半のときよりも聴ける機会が減ってしまって残念。思えば、前々から憧れていた落語に急に夢中になった起爆剤は、ある夜なんとはなしにラジオからきこえてきた「ラジオ名人寄席」の圓生の『ちきり伊勢屋』だった。圓生の落語そのものにシビれるのみならず、その高座の実況録音の舞台となった今はなき人形町末広に関する玉置宏さんのおしゃべりがとてもよかったのだった。そして、ちょうど今時分の季節にどんどん落語ディスクを聴くようになった。と、追憶にひたりつつ聴いた八代目正蔵の『化物使い』、たいへん堪能。

展覧会メモ

なにがしかの美術館でふいに見ることが出来るとそのたびに嬉しい画家のひとり、ボナールの絵をひさびさにまとめて見ることができた。会場の混雑具合もちょうどよくて、絵画の展示も質量ともにほどよい感じで、たいへんリラックスしつつ、のんびりと展覧会の絵にひたった、日曜日の午後。画家の生涯を時系列にたどりつつも、あんまり説明的になっていないことで、それぞれの絵を無心に見るという感じ、この絵、素敵だなとちょっと長く立ち止まったりとか、そんな感じのゆったり見物がとてもよかった。ちょっと長く立ち止まってしまう絵がたくさんあった。