浅草

いつもたのしみにチェックしている、書肆アクセス半畳日録(http://plaza.rakuten.co.jp/accesshanjoe/)で、『浅草』というタイトルの新刊のことを知って以来、大変気になってソワソワだった。というわけで、今日は丸ビルのコンランショップのバーゲンも「映画の日」もなんのその、神保町に突進して、いつもの寄り道コースをたどりつつ、書肆アクセスへ。まっさきに『浅草』を手にとってみて、ウム、これは! とペラペラめくって、即購入を決意。書肆アクセスではほかにも欲しい本があったけど今日はがまん。閉店時間まで東京堂で本を眺めて帰宅。今日の東京堂では学者先生の著書で「おっ」というのが何冊かあって興奮だった。

購入本

十二階が崩壊した関東大震災から東京大空襲までの浅草を、たくさんの書物からの引用を交えてたどるという趣向の一冊で、久保田万太郎宇野信夫川端康成武田麟太郎長谷川利行榎本健一高見順永井荷風色川武大という名前をさっそく目次で見ることになってそれだけでもうたまらない感じだけれども、中を読み始めてみると、そんないかにもな感じからくる感じ(なんのこっちゃ)の範疇を超えていて、とにかくとっても面白い。著者あとがきでは、「引用の織物」「浅草コレクション」「浅草という町についての評伝」という言葉が使われている。ああ、もうこういう本が大好きだ−、と帰宅後読み始めてさっそく止まらなくなっている。次々に登場する本(初めて知った本も少なくない)でいちいちゾクゾク。正岡容の「森暁紅・増田龍雨翁懐旧」という文章のことを知ってぜひ読んでみたいものだと思ったりとか、エノケンのところではきちんと森茉莉の文章が紹介されていて嬉しい。わたしにとってはエノケンといえば森茉莉なのだった。それにしても、堀切直人『浅草』、とても面白い。東京大空襲までを扱っている本書の続篇として、敗戦後から現在までをたどるパート2も執筆中とのことで、さっそく今からとっても待ち遠しい。