2008-01-01から1年間の記事一覧

『如何なる星の下に』とムーラン・ルージュ。『純情の都』と浅草。

先日、高見順の『如何なる星の下に』を読んだあと眺めていた桑原甲子雄の写真のうちの1枚。 桑原甲子雄《浅草公園水族館》(昭和10年)。 ――往年の名物も今や廃墟のようになっていた。廃墟といえば、浅草のレヴィウの発生地のような水族館も廃屋のままで、…

『高見順日記』を繰って、戦時下の浅草と桑原甲子雄の写真をおもう。

朝の喫茶店で、コーヒーをすすってほっと一息ついたところで、今日は、図書館で借りては少しずつ繰っている「高見順日記」の続きを読み進めることにする。高見順が死の直前まで病床で注釈作業に没頭していた日記。今繰っているのは、昭和18年5月から昭和19…

野口冨士男『海軍日記』。島津保次郎『私の兄さん』と『純情の都』。

朝の喫茶店。野口冨士男『海軍日記 最下級兵の記録』(文藝春秋・昭和57年8月=現代社・昭和33年11月刊行の新版)をもう一度ざっと読み返すことにする。海軍に応召された昭和19年9月14日から昭和20年8月24日の復員までこっそりつけていた当時の日記を詳細…

うらわ美術館のあと、王子から都電にのって早稲田へ。演博の梅幸展。

正午過ぎ、浦和へ。うらわ美術館にて《誌上のユートピア 近代日本の絵画と美術雑誌 1889-1915》展を見物する。神奈川県立近代美術館の葉山館で開催されると知って以来、ずっとたのしみにしていたものの、いざ会期が始まってみるとなんやかやで行き損ねる、と…

古書展で「読書感興」を買い、内田魯庵と加藤美侖をおもう。

正午。昨日はうっかりいつもの倍飲んでしまった、「いつもの倍」が着実に「いつも」になっている、このへんで料簡を入れ替えないといけない……と、生あたたかい初夏の道を神保町に向かって、ノロノロと歩くその途上のコーヒーショップでぼんやりと一人で昨日…

『やぶにらみニッポン』の十返肇。新井静一郎『ある広告人の日記』。

2年ほど前に、ラピュタ阿佐ヶ谷の《銀幕の東京》特集で、特に深い考えもなく単に気が向いたのでふらりと、鈴木英夫の『やぶにらみニッポン』(昭和38年・東宝)を見に行ったら、十返肇がなんと俳優として出演していて、「キャー!」と大興奮したことがあっ…

戦時下の風俗小説。丹羽文雄『闘魚』を読む。東京昭和十六年。

野口冨士男読みの一環で、自分のなかで野口と十返を軸にして、「青年芸術派」(昭和15年10月結成、翌16年4月に活動開始)のメンバー(青山光二、井上立士、田宮虎彦、十返肇、野口冨士男、船山馨、牧屋善三、南川潤)の周辺を緩慢に追うようになって、今年…

三田で小泉信三展を見て愛宕山へ。藤牧義夫の《隅田川絵巻》を見る。

雨があがって嬉しいなアと、午後、三田界隈へ出る。菊地寛生誕120年の今年は、小泉信三の生誕120年でもあるのだった。慶應義塾大学旧図書館にて《生誕一二〇年記念 小泉信三展》が賑々しく開催されているという、が、会期はたった二週間、見逃しては大変だ、…

南川潤の『白鳥』を読んで、モダン都市のダンスホールをおもう。

連休が明けて、いつもの朝の喫茶店でコーヒー片手に、まっさきに読んだ本は、南川潤の『白鳥』(今日の問題社、昭和17年)。 南川潤『白鳥』新鋭文学選集3(今日の問題社、昭和17年11月)。装釘:鈴木信太郎。野口冨士男の『黄昏運河』(昭和18年3月刊)が…

東京ステーションホテルと旧丸ビルに心ときめかす。黄金週間の観劇。

ベランダのカーテンを開けはなってみると、ひさしぶりの青い青い空。こんなに嬉しいことはない。晴天のサマを目の当たりにし、にわかにハリきり、怒涛の勢いでいつもの家事諸々と合わせて、ふだんはさぼってしまう類の家事諸々をもかたづけてゆく。最後に、…

野口冨士男の歩いた道を歩いて「古書往来座外市」へゆく。

家事諸々が片づいてスッキリしたところで、時刻はちょうど午前8時。ラジオのスイッチを入れて、ベランダの向こうの曇り空をぼんやりと眺める。この連休は毎日晴天になるとばかり思っていた。今日は布団を干そうと、それだけをたのしみにしていた、しかしい…

《シュルレアリスムと写真》展で一九三〇年代東京をおもう。

明日から4日間も休日が続くなんて嬉しいなアと、午後になるとすっかり気持ちがフワフワ、心ここにあらずという感じで、来るべき休日のことで頭のなかがいっぱいになっている(毎週金曜日はいつもだけれど)。しかし、そうこうしているうちに、いつものよう…

「戸板康二ダイジェスト」更新メモ(#053)

戸板康二ダイジェスト(http://www.ne.jp/asahi/toita/yasuji/)を更新。 来月の講談社文芸文庫の新刊として、『思い出す顔 戸板康二メモワール選』が発売になる。こんなに嬉しいことはない。黄金週間なんてもうどうでもいいッ、発売日の来月9日がひたすら…

古書展で高見順と日本郵船時代の内田百間と岡田八千代。

土曜日。図書館を早々に切り上げて、昼下がり、神保町に出る。東京古書会館の「書窓展」へ出かける。「まど展」はひさしぶり、まア、ゆるりと棚をめぐるとするかと、時間があいたので軽い気持ちでノコノコとここまでやって来たのだったけれど、いざ来てみた…

高見順の「都会風俗小説」に製菓会社が登場。十返肇の高見順論。

一ヶ月ほど前の「高見順全集を繰って、戦前『都会小説』の宣伝部描写に心躍らせる。」(id:foujita:20080323)の続き。「森茉莉街道をゆく(http://blog.livedoor.jp/chiwami403/)」のちわみさんが、川崎のコロムビア・レコードの工場と明治製菓の川崎工場…

旭屋書店銀座店で本を買う。原節子の背後にマツダビルディング。

日没後、傘をさして日比谷界隈を通り抜け、帝國ホテルの前で左折、線路をくぐってみゆき通りを直進して、旭屋書店で本を見る。本日のお目当て、扉野良人『ボマルツォのどんぐり』晶文社(asin:4794967241)をガバッと手中に収めて安心したところで、映画の本…

渋谷から東急バスにのって成城へ。皇紀二千六百年の東京写真を見る。

日曜日の午後、雨上がりの渋谷から東急バスに揺られてトロトロと、終点の成城学園駅へ。渋谷から東急バスにのって成城へゆく、というのを、ずっとしてみたいと思っていたので、念願かなってやれ嬉しや、だった。 成城といえば「砧撮影所」。砧撮影所といえば…

書誌メモの「帖面」。モダン都市の PR 誌周遊の一環として、松坂屋の「新装」。

ホームページの「帖面」と名づけたコンテンツ(http://www.ne.jp/asahi/foujita/kanako/carnets/index.html)を改訂。これは自分用につくっている書誌メモ。古書展で十返肇の本を見かけるたびに、この本は持っていただろうかと記憶があいまいでいつも難儀し…

中島賢二訳の岩波文庫は好きな本ばかり。次のコリンズは小池滋訳。

早起きして、喫茶店でコーヒーを飲んで、のんびり。昨日読み終わってしまった、ウィルキー・コリンズ/中島賢二訳『白衣の女』全3冊(岩波文庫)をピンポイント式に読み返す。読み終わっても気持ちがワクワク。なんと見事だったことだろう! と、ところどこ…

『白衣の女』の続きを買いに旭屋書店へ。1930年代数寄屋橋界隈。

一週間に1冊ずつを目安に、読み終わるごとに続きは旭屋書店銀座店でチビチビ買ってゆくとしようと、先週金曜日の買ったウィルキー・コリンズ/中島賢二訳『白衣の女』上巻(岩波文庫)を月曜日の朝の喫茶店で読み始めたのだったけれども、うーむ、そんな悠…

昭和14年「三田文学」の森永製菓と明治製菓。図書館から歌舞伎座へ。

今日も朝からよいお天気。とりあえず早起きをして、弁当をこしらえながら、本日の行程を練る。歌舞伎座にゆくまでに図書館を二館はしごすることにして、水筒にお茶を注ぐ。新聞を眺めながらゆるりと朝食を済ませて、ラジオのスイッチを入れてみると、ちょう…

部屋で戦前松竹ヴィデオ。映画館でマキノ正博『幽霊暁に死す』。

休日の朝のおたのしみは借りものヴィデオの再生だてんで、今日は佐々木康『風の女王』(昭和13年・松竹大船)を見る。原作は片岡鉄兵。佐々木康の戦前松竹映画は、桑野通子が女学生を経ての新人弁護士を演じる『新女性問答』(昭和14年、オリジナル脚本)、…

旭屋書店銀座店でコリンズを買う。1930年代東京の空にはアドバルン。

夜銀座で所用がある日は、なるべく早くに外に出て日比谷界隈へ向かい、東京宝塚劇場のところで帝国ホテルを正面に左折、みゆき通りを直進し線路のガード下をくぐると、やがて左手に泰明小学校、、旭屋書店で本を見て(立ち読みの方が多い気が…)、時間がある…

彷書月刊を読んで岡本一平『人の一生』を繰る。鈴ヶ森のポプラの家。

朝の喫茶店で珈琲を飲んで、のんびり岡本一平の『人の一生』を繰る。今月号の「彷書月刊」の特集、《大正十年書生生活 岡本一平『人の一生』を読む》はたいへんワクワクだった。なんて、実は『人の一生』のことを知ったのははじめてだ。あわてて、京橋図書館…

『日本映画縦断』のとなりに高田保『青春虚実』。神保町で沢島忠。

朝。朝から雨がザアザア降っていて、週明けだというのに意気あがらず、いつもよりも動作に時間がかかり、出る時間が遅くなるも、それでも時間はたっぷり。喫茶店でコーヒーを飲んで、ふうっとひと休み。高田保『青春虚実』(創元社、昭和26年12月)をのんび…

歌舞伎座昼の部の追憶にひたって本を繰る。ミツワ石鹸の広告。

一週間のはじまりなので気合いをいれるべく(いつもすぐ抜けるけど)、ハリきってなおいっそうの早起き。諸々の家事をバタバタと片づけてソソクサと外出、喫茶店でコーヒーを飲んで、本を読む。 昨日の歌舞伎座で、数年ぶりに『陣門・組打』を見てあらためて…

高見順全集を繰って、戦前「都会小説」の宣伝部描写に心躍らせる。

今日も早起き。諸々の家事を万事抜かりなく片づけてスッキリしたところで時刻はちょうど午前8時。さア、何週間ぶりかで「音楽の泉」を聴きながらお茶でも飲んでくつろぐといたしましょう! とラジオのスイッチをまわしてみたら、今週は高校野球でお休みだっ…

早起きしてコーヒーを飲み、古書展と文学館。神保町シアターで阪妻。

いつもと変らない時間に起きて、家事諸々をソソクサと済ませて、いつもよりも早い時間に外出。喫茶店でコーヒーを飲みながら、本を繰る。安田武『定本 戦争文学論』(第三文明社、1977年8月)を読み続ける。 長谷川利行《岸田國士像》(1930年) 日曜日に、…

浅草から東武電車で桐生へゆく。洲之内徹と南川潤と十返肇をおもう。

朝から雨がザアザア降っている。早起きして傘をさしてイソイソと外出。浅草から東武電車の特急にのって桐生へ向かう。桐生といえば、前々から大川美術館に行きたしと思えども、なかなか機会がやってこなかった。それが、先日立て続けに、桐生に死んだ南川潤…

『十返肇著作集』をもって近代美術館へ。神保町シアターで鳴滝組。

昨夜、近所のお店で機嫌よくワインを飲んでいたら、同じカウンターに座る常連ふうの人がマスターに、『深夜食堂』(asin:4091817076)という漫画がとってもいいんですよ、ぜひぜひ、というようなことを話しているのが耳に入って「おっ」となった。『深夜食堂…